【餓狼CotW】ネモが双子対決に「八百長では」と問題提起 K-TOP・H-DOPE側は否定、えいたも試合内容に違和感

餓狼伝説

『餓狼伝説 City of the Wolves』の競技シーンで、プロゲーマーのネモ氏がある試合について問題提起し、格闘ゲームコミュニティで大きな議論となっている。

発端となったのは、2026年9月4日~6日にパキスタンで開催された「Takedown 2026」。同大会の『餓狼伝説CotW』部門は「SNK World Championship 2026(SWC 2026)」のMaster 2指定大会として行われ、K-TOPが優勝、Hazzが準優勝、H-DOPEが3位となった。K-TOPとH-DOPEはTeam Vitalityに所属する双子のプロゲーマーだ。

その大会のウィナーズファイナルで行われたK-TOP対H-DOPEの一戦について、ネモ氏がXで疑問を呈した。

両者が普段のメインキャラクターではないキャラクターを使用していたことに加え、実際の試合内容にも不自然に見える場面があったとして問題を提起した。投稿は大きく拡散され、国内外で議論が広がることとなった。

さらにネモ氏は、試合中の具体的な場面を取り上げた投稿も行っている。

SWCのルールには「八百長」だけでなく「談合」「Soft play」も規定

今回の問題を考えるうえで重要なのが、SWC 2026の公式ルールだ。

ルールブック6.7.1には「Match-fixing(八百長)」が明記されており、意図的に敗北するなどして試合結果を意図的に変えようとする行為が禁止されている。

さらに、6.3では「Collusion(談合)」についても規定されている。

同ルールでは、複数の選手による合意によって他の選手を不利にする行為を談合と定義。同じeスポーツチームに所属する選手なども対象になるとしており、その例として「Soft play」――つまり、通常期待される競技レベルで戦わないことについて選手同士で合意する行為――も挙げられている。

もちろん、今回の試合がこれらに該当すると現時点で確定したわけではない。

ただ、単純に「わざと負けたのか」という点だけではなく、事前にどのような取り決めがあったのか、それによって競技の公平性が損なわれていなかったかも論点となり得る。

ポイントは本戦出場だけでなく、そのまま賞金にもなる

「Takedown 2026」が単なるコミュニティ大会ではない点も重要だ。

SWC 2026では各予選大会の順位に応じてポイントが付与され、その累計によって本戦出場者が決定する。

Master 2大会では、優勝が2,000ポイント、準優勝が1,000ポイント、3位が800ポイント。さらに獲得ポイントは1ポイント=1ドルとして賞金にも換算される。

つまり、この試合の結果はK-TOPとH-DOPEだけではなく、SWC本戦出場を争う他の選手のランキングにも影響する。

そのため、通常の大会以上に「公平な競技が行われているか」という点が重要になる。

K-TOP・H-DOPE側は八百長を否定 「兄弟同士ではメインキャラを使わない」

一方、ネモ氏の投稿を受け、K-TOPとH-DOPE側も事情を説明している。

K-TOPによると、第1ゲームでH-DOPEの動きが不自然に見えた大きな理由はボタン設定が間違っていたことだという。

試合後にH-DOPEがキャラクター選択画面でボタン設定を変更しているため、映像を確認してほしいと説明している。

H-DOPE自身も、第1ゲームではボタン配置が完全に違っていたため満足にプレイできなかったと説明している。

また、両者が普段のメインキャラクターを使用しなかった理由について、K-TOPは、

兄弟は互いに最大の練習相手であり、お互いの弱点を知り尽くしているため、公開の場で兄弟同士が対戦する際にはメインキャラクターを使わない

という方針を説明。

これは今回に限ったことではなく、SWC 2025でも同じようにしていたという。

クラウザー同キャラ戦の内容についても、両者ともクラウザーへの習熟度が高くなかったためプレイ内容が悪く見えただけであり、双方とも勝つ意思はあったと八百長を否定している。

ただし、この説明によって新たに注目されたのが、「兄弟同士ではメインキャラクターを使用しない」という取り決めそのものだ。

メインキャラクターを使わないこと自体が直ちにルール違反になるわけではない。しかし、ポイントや賞金がかかった公式競技で、対戦する二人の間に事前の取り決めが存在する場合、それを競技上どこまで許容すべきなのかという議論は残る。

まさおも当初は「競技勢として違和感」 翌日には自身の発言を謝罪

SCARZ所属のプロゲーマー・まさお氏も、当初はネモ氏の問題提起に理解を示していた。

試合を確認したうえで、「双方がサブキャラクターを使用している」「コンボミスや棒立ちなど不自然に見える場面がある」「SWCポイント上、K-TOPが勝利することにメリットがある」という点を挙げ、「競技勢としては僕も違和感を覚えました」と投稿。

ネモ氏がリスクを負ってまで問題提起したのは、それだけ試合内容が不自然に映ったためではないかとの見方を示していた。

しかし翌日、まさお氏は自身の発言について改めて投稿。

発言が軽率だったとし、今回のような問題について選手個人が言及することではなかったとして謝罪した。

そのため、まさお氏については単純に「ネモ氏の主張に賛同した選手」とするのではなく、一度は試合への違和感を表明したものの、その後は自身の発言の仕方について謝罪したという一連の流れまで含めて見る必要がある。

えいたは配信で「かなり違和感を感じる」 選手が声を上げることにも肯定的

一方、プロゲーマーのえいた氏も自身のライブ配信で今回の問題について言及した。

えいた氏が特に違和感を示したのが、試合中のある場面だ。

相手のジャンプ攻撃をカウンターではない通常ヒットで受けたあと、そのままではコンボとしてつながらない地上攻撃まで続けて被弾していた場面を取り上げた。

連続ヒットになっていないのであれば途中からガードできる余地があるため、意図的ではないとすればかなり大きなミスプレイに見える。

さらにえいた氏は、プレイ内容だけではなく、その際にワイプに映っていた選手の表情にも注目。

大きなミスに相当するようなプレイにもかかわらず、選手がほぼ無表情だった点にかなりの違和感を覚えたとしている。

また、それだけではなく試合直後のリアクションについても疑問を示した。

今回の試合では、通常であれば大きなミスと考えられるような挙動が複数回見られたにもかかわらず、敗れたあとにもほとんど悔しがっているように見えなかった点を挙げ、試合全体を通して違和感があったとの見方を示している。

もちろん、選手の表情やリアクションだけで八百長の有無を判断することはできない。性格によって感情の表し方も異なるため、これ自体が証拠になるものではない。

えいた氏も映像から八百長を断定しているというより、試合内容と選手の反応を合わせて見た際に「違和感がある」という立場から語っている。

「選手個人が言及すべきではない」という空気にも、えいたは疑問

また、えいた氏の発言で興味深かったのが、ネモ氏がSNS上で問題提起したことそのものについての見方だ。

まさお氏は翌日、「選手個人が言及することではなかった」として自身の発言を謝罪した。

一方でえいた氏は、「こうした問題について選手個人が言及するべきではない」という空気そのものに疑問を呈している

八百長を疑う発言は当然ながら発言者側にも大きなリスクがある。

それでも、競技に参加している選手が「おかしい」と感じたのであれば声を上げること自体を否定するべきではないという考えを示し、そのリスクを踏まえたうえで問題提起したネモ氏の姿勢には賛同している様子だった。

この部分は今回の問題における、もうひとつの重要な論点と言える。

「証拠が確定するまで選手は何も言うべきではない」のか。

それとも、競技の公平性に疑問を感じた選手が公に問題提起することには意味があるのか。

八百長という非常に重い疑惑である以上、無責任な断定は避けなければならない。一方で、疑問を持った選手が声を上げることまで否定されれば、競技上の問題が表面化しにくくなる可能性もある。

現時点では「八百長だった」と断定できる状況ではない

今回の試合映像には、ネモ氏やえいた氏をはじめ、競技経験のある選手が違和感を覚える場面が存在する。

一方でK-TOPとH-DOPE側も、ボタン設定のミスや使用キャラクターについて理由を説明し、勝つ意思がなかったという見方を明確に否定している。

公開されている映像やSNS上の情報だけから、第三者が**「八百長だった」と断定することはできない**。

同時に、公式ルールにはMatch-fixingだけでなくCollusionやSoft playについても規定されている以上、「証拠がないので何も問題はない」と簡単に片付けられる話でもないだろう。

特に気になるのは、K-TOP側が公に説明した**「兄弟同士ではメインキャラクターを使わない」という取り決め**だ。

兄弟だから、同じチームだから、普段の練習相手だから――という事情は理解できる。

しかし、SWCポイントと賞金、そして第三者の本戦出場にも影響する公式競技である以上、対戦相手との関係によって通常とは異なる条件で試合を行うことをどこまで認めるのかは、運営側が整理すべき問題でもある。

今回の件を単純な「黒か白か」の議論だけで終わらせるのではなく、今後同様のケースが起きた場合にどこからがルール違反になるのか、競技として明確な線引きを示すことが重要になりそうだ。

少なくとも9月13日時点で、SNK公式サイトおよびSNK Esportsのニュース欄では、今回のK-TOP対H-DOPE戦について個別の処分・裁定を発表した記事は確認できない。

今後、SNKやSWC運営が今回の問題について何らかの判断を示すのかにも注目したい。

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